平塚市議会で、誰が、いつ、何を話しているのか。
自分が気になっている問題を、どの議員が取り上げているのか。
議案に誰が賛成し、誰が反対したのか。
こうした情報を、市民の皆さんが自分で調べ、自分で確かめられるサイト「ひらつか議員カタログ」をつくりました。
開設時点では、2023年5月から2026年6月までの261会議を対象に、議員発言7,771件を収録しています。データの対象期間や数え方も、各ページで確認できるようにしました。
もくじ
情報は公開されている。それでも、たどり着くのは難しい
平塚市議会の会議録や議案、採決結果、政務活動費、選挙結果は、すでに公式サイトで公開されています。
行政や議会が情報を隠している、という話ではありません。
ただ、「公開されていること」と「普通の市民が簡単に見つけられること」は、同じではないと僕は感じてきました。
たとえば、通学路の安全が気になったとします。自宅の近くを走るバスの本数、ごみの出し方、学校給食、不登校支援、公園の整備、防災対策について知りたいと思ったとします。
それが議会で話し合われたのかを調べるには、長い会議録を開き、検索する言葉を考え、複数の会議や年度を行き来しなければなりません。議案の内容、採決結果、議員のプロフィールも、それぞれ別の場所にあります。
制度に慣れている人なら探せても、初めて見る人にとっては、入口そのものが分かりにくい。
せっかく公開されている大切な記録が、探し方を知っている人にしか届かないのは、もったいないと思いました。
そこで、散らばっている公式情報を整理し、暮らしの言葉から議会の記録へたどり着ける入口をつくろうと考えました。それが「ひらつか議員カタログ」です。
YouTubeで地域を伝えてきた経験が出発点です
僕は「平塚ユーチューバーしん」として、平塚のお店や地域の話題を動画で発信してきました。
その活動を続ける中で感じたのは、情報の伝え方が変わると、これまで届かなかった人にも届くということです。
市の制度や議会の話は、難しい言葉が多く、資料も長くなりがちです。しかし、その中身は、子育て、教育、福祉、道路、交通、ごみ、防災など、日々の暮らしとつながっています。
議員になってからは、議会の内側で情報に触れる機会が増えました。同時に、市民の皆さんとの間にある情報の距離も、以前よりはっきり見えるようになりました。
議会の情報を短く切り取って結論だけを伝える方法もあります。ただ、それだけでは、発言の前後や根拠が見えなくなることがあります。
分かりやすさは大切です。一方で、分かりやすくするために誰かの都合のよい形へ変えてしまっては意味がありません。
だからこのサイトでは、情報を整理して入口をつくりながら、最後は必ず公式資料へ戻って確認できる形を目指しました。
政治参加は、選挙の日だけではありません
選挙公報や議員のSNSは、投票先を考えるうえで大切な情報です。
けれども、市議会は選挙と選挙の間も続いています。
議員は普段、何を質問しているのか。市の答えに対して、どんな意見を述べたのか。議案が決まるまでに、どのような議論があったのか。
こうした日々の記録も、投票先を考える材料になるはずです。
政治を身近にするというと、政治家が街頭やSNSで積極的に発信することに目が向きます。それも必要です。ただ、発信する側が選んだ情報を受け取るだけでは足りません。市民が知りたいことを、自分から探せる環境も必要だと僕は考えています。
「学校」という言葉から探してもいい。「バス」「公園」「ごみ」「防災」でもいい。
暮らしの中で生まれた小さな疑問から、市議会の記録へ進める。そこから議員の発言を読み、元の会議録を確かめ、自分なりに考える。
それも大切な政治参加の一つだと思います。
議員を点数化せず、判断材料を同じ基準で並べます
「議員カタログ」という名前から、議員を順位づけするサイトを想像する方もいるかもしれません。
このサイトは、議員の優劣を決めたり、おすすめの議員を選んだりするためのものではありません。
発言件数が多いから優秀、少ないから働いていない、とは評価しません。
本会議での質問は、議員の仕事の一部です。ほかにも、委員会での審査、市民相談、地域活動、調査研究、行政との調整などがあります。議事録に残る数字だけで、そのすべてを測ることはできません。
数字は便利ですが、見せ方によっては強い印象を与えます。件数順を最初に表示すれば、それだけで順位のように見えてしまうかもしれません。そのため、議員の初期表示は五十音順とし、件数順は閲覧者が選んだ場合だけ表示しています。
総合点やおすすめ順位も設けません。色を使って、特定の議員を良く見せたり、悪く見せたりもしません。
掲載するのは、対象期間中に公式資料で確認できた発言、テーマ、議案への賛成・反対、政務活動費、選挙結果などです。
運営者である僕自身も掲載対象です。自分だけをよく見せる特別扱いはせず、僕を含むすべての議員に、同じ公式資料と同じ集計方法を使います。
サイトが結論を決めるのではなく、材料を同じ基準で並べる。最後にどう見るか、誰を評価するかは、閲覧する方自身に委ねます。
「分からない」を、分かったように見せない
このサイトで特に大切にしているのが、不確かなものを推測で埋めないことです。
本当に発言が0件だったのか。資料をまだ収録できていないのか。収録はしたものの解析が終わっていないのか。公式資料だけでは確認できなかったのか。
これらは、まったく意味が違います。
そのため、「0件」「未収録」「未解析」「確認できず」「対象外」を分けて表示します。
議案への賛否についても、個人別の結果を公式資料で確認できた場合だけ、個人の賛否として掲載します。公式資料が会派単位であれば「会派の賛否」と明記し、所属議員一人ひとりの意思だったとは推測しません。
質問の後に市の答弁が並んでいても、公式資料で対応関係を確認できなければ、勝手に結びつけません。
情報をたくさん載せることよりも、どこまで確認できていて、どこから先は分からないのかを正直に示すこと。そのほうが、長く信頼して使っていただけるサイトになると考えています。
AIは整理を手伝う道具であり、判断する主体ではありません
大量の会議録を検索し、テーマごとに分類し、短い要約をつくる作業では、AIを補助的に使う場合があります。
ただし、AIだけで事実を決めることはありません。
議員の発言意図を推測すること、議員を評価すること、確認できない賛否を埋めること、ある政策と成果の因果関係を認定することには使いません。
AIによる要約は、そのことが分かるように表示します。要約と公式資料の内容が違う場合は、公式資料を正しい情報とします。
AIが便利になるほど、「それらしい答え」と「確認できた事実」を分ける姿勢が大切になります。
技術を使って読みやすくする。しかし、技術に判断を預けない。この線引きを守りながら運営します。
子どもから大人まで、入口で諦めないサイトにしたい
議会の情報に興味を持っても、文字が小さい、専門用語が多い、ページの見方が分からない。それだけで読むのを諦めてしまうことがあります。
「ひらつか議員カタログ」には、文字を大きくする機能と、議会用語やページの見方に短い説明をつける「やさしい解説」を設けました。
政治に詳しい人だけが使えるサイトにはしたくありません。
高校生が自分の学校に関する議論を探すかもしれない。子育て中の方が、保育園や給食の話を調べるかもしれない。地域の道路やバスを心配する方が、過去の質問を見つけるかもしれない。
最初から制度を知っていることを求めず、気になった言葉を一つ入れれば調べ始められる。そんな入口を目指しています。
仕組みも公開し、別のまちへ手渡せるようにしました
今回つくったプログラムは、MITライセンスのオープンソースとして公開しました。
この仕組みを、僕一人のものにしておきたくなかったからです。
議事録には、通学路、給食、大雨への備えなど、それぞれの地域で暮らす人にとって大切な言葉が残っています。何百ページもの資料の中から、必要としている誰かが一つの問いを見つけられるようにしたい。
平塚でつくった仕組みが、いつか別のまちで「自分の地域の議会を知りたい」と思った人の出発点になるかもしれません。その人が、また一から同じものをつくらずに済むよう、再利用できる形で公開しています。
プログラムを外から確認できれば、集計や表示の間違いに誰かが気づいてくれる可能性もあります。改善案や修正の提案を受け取り、次の人へ渡していける仕組みにしたいと思っています。
議会の記録を市民の手の届くところへ運ぶ。そのための道具も、誰かの手に渡せるようにしておきます。
間違いを認め、直した記録を残します
個人でつくり、運営している以上、見落としや間違いが起こる可能性はあります。
大切なのは、間違いがないように確認を重ねること。そして、誤りが見つかったときに隠さず、公式資料へ戻って直すことです。
掲載情報の誤りやリンクの不具合は、サイト内の「お問い合わせ」から受け付けます。出典との不一致、転記や集計のミス、古くなった情報、文脈を誤解させる表示があれば、公式資料を再確認します。
誤りが確認できた場合は修正し、大切な訂正は更新履歴に残します。
このサイトに書いてあるから正しい、と一方的に信じてもらうことが目的ではありません。「本当にそうなのか」と思ったとき、自分で出典を開いて確かめられることを大切にします。
市民と議会の距離を、一歩ずつ縮めたい
道路も、学校も、ごみも、公園も、子育ても、福祉も、防災も、私たちの生活のすぐ近くにあります。
そして、その一つひとつが平塚市議会で話し合われています。
議会を身近にするために必要なのは、政治家の発信を増やすことだけではないと思います。市民が自分で記録を探し、比べ、疑問を持ち、確かめられることも必要です。
知るための入口があれば、「自分には関係ない」と感じていた議会が、自分の暮らしにつながって見えるかもしれません。議員へ質問してみようと思う人や、議会を傍聴してみようと思う人が出てくるかもしれません。
すぐに大きな変化が起きるとは思っていません。
それでも、市民と議会の間にある情報の段差を、一つずつ小さくしていきたい。
「ひらつか議員カタログ」は、誰かを一方的に評価する場所ではありません。平塚市議会を知り、自分で見て、自分で比べて、自分で考えるための入口として育てていきたいと思います。
ぜひ一度、気になる言葉や議員の名前から検索してみてください。
※「ひらつか議員カタログ」は、平塚市や平塚市議会が運営する公式サイトではありません。平塚市議会議員・元島しんが個人で制作・運営しています。特定の政党、会派、候補者を支援・推薦するものではありません。
